三日後には、ぐーぱんはヤマを越えて、次第に元気になった。
3ヶ月くらい入院していたと思う。
その間、あーぱんを連れて病院に通った。
搾乳し冷凍させた母乳を届ける為だ。
私1人しかいないので、これが結構しんどかった。
無事に1年が過ぎ、ぐーぱんも嘘みたいに大きく育った。定期的に病院に行かなくても良くなったので、私は保育園に子供を預けて働く事にした。
それが今の仕事を始めるキッカケになっている。
仕事はとてもいい息抜きになった。
その頃、実家の義母さんが居酒屋を経営すると言う事になった。
これが私達が別れるキッカケになる。
しばらくすると、彼のお兄さんが来て、
『新しいカメラを買いたいけど、自分はブラックだから、ローンが組めないので、月々3万円払うから、代わりにローン組んでほしい』
と頭を下げて頼んできた。
お兄さんの職業は、カメラマンだった。
私はもちろん反対した。
彼のお家でたまに会うけど、お兄さんは、取っ替え引っ替え彼女を変えていた。
それにブラックだと言う。
そう言う奴はお金をちゃんと返さないから、やめておいたほうがいいと言ったけど、
彼はお兄さんを信用して、貸すと言った。
だけど、一度も払ってもらえなかった。
それどころか、勝手に口座から落ちていく知らないお金が他にもあった。
これは何だ?と彼を問い詰めると、なんと義母さんのお店で使う業務用冷蔵庫の引き落としだった。
そういえば、お義母さんのお店に行った時すごく立派な業務用冷蔵庫があったなぁ…。
あれか!
「何で引き落としがうちに来てるの?」
『断れなかったんだ。親父やお袋が土下座して俺に頭を下げている姿を見て、断れなかった』
泣きながらそう言った。
話を聞けば、彼はずっと成人してから、肩代わりばかりしていたそうだ。
毎月ちゃんとお金を返すと言ってると。
だけど、私は信用できなかった。
お兄さんのことがあったからだ。
私のパート代は保育園のお金と生活費になってしまった。
それでも何とか生活費は出来た。
でも、どんどん口座の残高が減っていく。
知らない支払いがある。
でも、突然びっくりするような電話がかかってくる。
「〇〇だけど、入金まだなんやけどな…」
サラ金からの取り立てだった。
彼はサラ金にてをつけてしまった。
問いただすと、これもお義母さん達の代わりに借りたらしい。
もう精神的に限界だった。
「何で私達との生活よりお義母さん達の方を優先するのよ!私達生活できないよ。子供達の事とかもっと考えてよ!」
『ごめん。やっぱ親に土下座されて頼まれると断らないんだ。あきぱん悪いけど、風俗で働いてくれないかな?』
なんでやねん!
私は、子供を連れて実家に帰った。
父や母にその事を話すと、離婚しなさいと言われた。
どうして、子供を産むなと言ったのかよくわかった。
義父は私を働かせて、お金を稼ぐ所を増やしたかったのだ。
後でわかったのだが、彼以外全員がブラックリストにのってたらしい。
お義父さんは、お義母さんのお金の病気のせいで自身もブラックリストになってしまったようだ。
彼と話し合い、私達は離婚することになった。
彼には私達は家族として見てもらってなかったのかもしれないね。
娘達は父親の顔を知らない。
物心つく前に離婚したからだ。
でも2人とも彼によく似ている。
特に上の娘がよく似ている。
年間百冊以上本を読むあーぱん。
彼女はきっと父親に似たんだと思う。
私は彼を恨んだりしていない。
嫌いにもなれなかった。
彼もかわいそうな人だから…。